2025年11月29日(土)15時〜17時 『まちは言葉でできている』(柏書房)刊行記念イベント「まちの記憶をひらく:共に語り、記録するという抵抗」

【企画概要】
2025年10月に刊行された、西本千尋さんによる随筆集、『まちは言葉でできている』(柏書房)の刊行記念トークを開催します。
都市計画の中で妊婦や子どもや障害者や女性や高齢者の存在が想定されていないこと、安全で快適な空間のためにホームレスの人々が排除されてきたこと、「公園まちづくり制度」の名の下に緑豊かな公園がなぜか消えていくこと――。「みんなのため」に進められる再開発の矛盾に目を凝らし、その暴力性に抗っていくために、専門家や行政の言葉ではなく、生活にねざした言葉でまちを語り直したい。そんな思いから「まちづくり」現場での約20年を記録した、デビュー作にして集大成のような一冊となっています。
ゲストにお招きするのは、本書の第13回「足裏の記憶」にも登場する、社会学者の松井理恵さんです。松井さんは韓国の地方都市・大邱(テグ)をフィールドに、植民地時代から1960年代にかけて建てられた近代建築物と地域コミュニティの関わりについて研究をされています(その成果は、共和国から刊行の『大邱の敵産家屋』で読むことができます)。
『まちは言葉でできている』には、そんな松井さんと共に大邱を訪ねた西本さんが聞き取った、「敵産家屋」と呼ばれる建築物を保存しようとする市民活動家たちの声が記録されています。詳細はぜひ本で読んでほしいのですが、この回にこんな記述があります。
〈たとえ再開発がなされたとしても、それは即座に敗北を意味しない。記録して、発信して、関係者が対話してというふうに、関わり続けていくこと(中略)。偶発的でコントロールの効かないこの信頼に足らない世界で、自分たちのまちをいつまでも一緒に語っていくこと(中略)。「(市民活動家の活動は)だれか域外に向けた人の活動や記録ではないんですよ。あくまでもあのまちに住んでいる人々と共有したいんです」。この日、松井さんが話されたことが耳に残っている。〉(199-200頁)
今、この国のあちこちで再開発が進んでいます。都市や建築物は歳をとっていくものですから、当然いつかは修繕したり、壊したり、新しくしなければいけません。と、頭では理解しつつも、今、目の前で起きている再開発の進み方に、違和感を覚えたことのある人は少なくないのではないでしょうか。
わたしたちは、変わりゆくまちとどう向き合っていけばいいか。お互いにどのような言葉を交わしていけばいいのか。日本での事例はもちろんのこと、韓国で得られた知見も共有しながら、共に考える時間にしたいと思います。専門的な知識は一切不要です。ぜひ、お気軽にお越しください。
柏書房/天野潤平
【登壇者】
西本千尋 (本書著者)
松井理恵
西本千尋(にしもと・ちひろ)
1983年埼玉県川越市生まれ。
NPO法人KOMPOSITION(居住支援法人)理事/JAM主宰。2003年から商店街、景観、観光、歴史的建築物、町並み保存、エリアマネジメント、居住支援等、各種まちづくりに携わる。跡見学園女子大学兼任講師。
『まちは言葉でできている』(柏書房、2025)が初の著書である。
松井理恵(まつい・りえ)
1979年愛媛県生まれ。
筑波大学大学院人文社会科学研究科修了、博士(社会学)。専攻は、社会学。現在は、跡見学園女子大学観光コミュニティ学部まちづくり学科准教授。
著書に『大邱の敵産家屋:地域コミュニティと市民運動』(共和国、2024)、共編著に『ボーダーとつきあう社会学:人々の営みから社会を読み解く』(風響社、2024)、編訳書にハーゲン・クー『特権と不安:グローバル資本主義と韓国の中間階層』(岩波書店、2023)などがある。
開催日:2025年11月29日(土)15時〜17時
14時30分頃より開店、受付開始
イベント終了後、21時頃まで通常営業
定員
店内:15名ほど
配信:無制限
アクセス
JR/京成幕張駅より徒歩6分
〒262-0032 千葉県千葉市花見川区幕張町5-465-1-106
*車の場合は近隣のコインパーキングをご利用ください。
配信について
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